宿題はつらいよ
発達障害の子たちが、学習の基礎をあやふやなまま先送りにしてしまう問題は、学校の長期休みの宿題にも見られます。
放課後等デイサービスで宿題をすることは原則的には認められていませんが、夏休みの宿題を自宅では決してやろうとしないという保護者の悩みを聞いて、短時間のお手伝い程度であればということで宿題を見せてもらうことがあります。
しかし、実際に学校から出された宿題を見せてもらうと愕然とすることになります。「がんばれば自力で半分くらいは出来る…かも?」といったレベルの問題が大量に出されているからです。保護者もなんとか期限までに宿題を終わらせようと必死です。
これは宿題が前学期に習った内容を単に繰り返すことが目的化していて、しっかりと根本から理解させることや、その理解を定着させることを目的とした内容になっていないからではないでしょうか。
定型発達の児童にとってはさほど問題にならないかもしれませんが、周囲と同じペースで勉強しても基礎を習得できなかった発達障害の児童にとって、「出来るようになった!」という機会を得られない、無意味で苦しい作業となることを意味しています。
このことは、障害児教育に理解のある教頭先生とお話しした際にも、もう少し現場の先生が柔軟になってくれたらと対応に苦慮しておいででした。おそらく伊勢原市に限らず全国的な傾向なのでしょう。
学校の長期休みは、遅れがちな発達障害の子たちの勉強の遅れを取り戻せるかもしれない貴重な時間です。それを単に量をこなすことで浪費してしまうのはもったいないことだと思いませんか?
もっと言えば、優先順位の付け方を間違っているとも言えます。
この時期に必要なのは基礎理解の「あやふや」を徹底的に無くすこと。そして、心の底から「出来るようになった!」という実感を数多く経験させて、前学期で自信喪失した発達障害の子たちに自信を持たせることなのです。