こども発達支援教室アクア blog

神奈川県伊勢原市にある児童発達支援・放課後等デイサービス こども発達支援教室アクアのブログ

発達障害の分野における専門家 1

 発達障害を持った子どもや保護者と関わることが多い専門家として、保健師、保育士、臨床心理士(国家資格の公認心理士もありますが、まだ世間の認知度が低いので、この記事では臨床心理士に統一します)などがあります。他に言語聴覚士もいますが、絶対数が少ないので関ったことが無い方もいるでしょう。

 

 市町村の乳幼児検診と発達相談に始まり、就学委員会やスクールカウンセラー、教育センターでの相談、児童相談所の手帳判定や病院の検査などでもお世話になることがあるので、お子さんに発達上の心配がある場合は上記の専門家たちに馴染みがあるのではないでしょうか。児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所でも常勤の保育士はいますし、臨床心理士を非常勤で配置するケースもあるようです。

 

 色々な場面で関わる機会の多い専門家たちですが、1人1人にスポットを当てると、その守備範囲は意外と狭いことに驚かれると思います。

 例えば、臨床心理士などは同じ資格なのかと思うくらいに守備範囲が異なります。カウンセリング技術に精通し、メンタルの問題についての経験は豊かだけれど、発達障害は教科書に書かれている範囲しか知らない臨床心理士は珍しくありません。その他に労働者のメンタルヘルスに特化している人や心理検査しかやらない人、非行少年の相談に特化している人もいます。

 

 どうして守備範囲が狭くなってしまうのかといえば、今や臨床心理士の職域や技法は非常に多岐に渡っていて、1人でカバーできる範囲をとっくに超えてしまっており、仕事としての安定性を考えれば、ある特定の分野に絞って、なるべく他の領域に手を出さない方が良いからです。

 また、スクールカウンセラーなどはカウンセリング技術や経験よりもソーシャルワーカー的な(政治的ともいう)動きが出来ることの方が重要で、適正のある人は限られてしまうので、これぞという人であれば学校側がなかなか手離したがりません。

 

 これは臨床心理士に限った話ではなく、言語聴覚士でも高齢者を対象にする人と児童を対象にする人は明確に分かれますし、発達障害や福祉制度のことをよく知らない小児科医や心療内科医、精神科医もいます。発達障害に関わる、あらゆる専門分野が細分化され、自分の領域以外のことは分からなくなっているのです。

 

 それぞれの専門性が狭くなっている状況に加えて、ほとんど経験の無い、守備範囲外の分野に参入して来たばかりの自称専門家たちが、どの業界にも必ず一定数は存在しているという問題もあります。

 無論、新しい分野にチャレンジして自分をアップデートしていこうという勉強熱心な専門家であれば、知識や経験を縦に横にと繋げていけるので良いですが、これまでの自分の知識や経験の及ぶ範囲でしか仕事をしない専門家もいたりして、こういう人は相談する側からは見分けがつかないので非常に厄介です。

 

2につづく